拡大床とは?使用する目的や効果について詳しく解説!

大分大学医学部医学科卒業。医師として救急医療や在宅医療に従事し、マウスピース歯科矯正hanaravi(ハナラビ)を提供する株式会社DRIPSを創業。医療現場で予防の重要性や予防に取り組んでもらうことの難しさを痛感。美容という切り口で本質的な予防につなげる入口として、口腔という臓器に興味を持つ。口腔環境が多くの臓器に影響を及ぼし、多くの病気に繋がってしまうというポイントから予防について新聞・テレビ・WEBメディア等で情報を発信している。
 

歯列矯正をするときに症例によっては拡大床を使用する場合があります。矯正治療を効果的に行うために用いられますが、どんなときに使用するのか、目的やメリット・デメリット、使用するときの注意点などを詳しく解説します。

拡大床とは

拡大床とは、歯が綺麗に生えるスペースが足りない症例の場合に、上顎や下顎の歯を外側(頬側)に移動させることで抜歯せずにスペースを作り、歯を並べる装置です。

主に子供の矯正治療で使用されますが、大人の場合も症例によっては矯正装置との併用をすすめられる場合があります。

拡大床は取り外しや調整が患者自身で行えます。そのため生活スタイルに合わせて便利に取り外しができますが、装着する時間が短くなると、計画通りに治療が進まなかったりすることがあるので注意が必要です。

拡大床だけの治療ではあごの骨格を広げることはできません。しかし、歯が内側に向かって倒れるように生えている場合など、歯の生えている向きによっては拡大床で歯の傾斜を変えることで、歯がまっすぐ生えるスペースを作って歯並びを整えることはできます。

急速拡大装置との違いは?

拡大床ではあごの骨を拡げることはできませんが、急速拡大装置を使用するとあごの骨を拡げることができます。急速拡大装置は上あごだけに使える装置で、正中口蓋縫合(上顎骨の真ん中)が癒合しない思春期までの年齢に適応される治療法です。成人してからも25歳頃までであれば、効果が期待できる場合もあります。

拡大床は上下の歯を頬側に移動させる装置で、急速拡大装置は上あごの骨を頬側に拡げる装置です。

拡大床の種類

拡大床は、スケルトンタイプとプレートタイプがあります。スケルトンタイプは、プレートを使わずに歯をワイヤーとネジやバネなどで拡げる方法です。

プレートタイプは、レジンで作ったプレートにワイヤーとネジやバネで構成された装置です。スケルトンタイプと同じようにネジとバネを調整することで歯列にかける力を調整します。プレートは透明なので、拡大床の装置はそれほど目立ちません。

他の矯正装置と併用することも

拡大床は大人の治療の場合、それだけで矯正治療をするケースは少なく、マウスピース矯正やワイヤー矯正と併用する場合が多くあります。また、歯並びによっては取り外し式ではなく固定式の拡大床を使用することもあります。

拡大床も他の矯正治療と同じく保険適用外です。最適な治療方法を選択するために、歯科医師とのカウンセリングの際によく説明を受けると良いでしょう。

拡大床のメリット

拡大床を使うメリットを紹介します。

歯を抜かずに矯正できる

矯正治療では、歯並びを整えるために抜歯をしたり、歯を削ってスペースを作る方法が取られる場合があります。歯科医師が治療計画を立てる段階で、抜歯をした方がきれいな歯並びになると判断した場合、矯正のために歯を抜くことがあります。

しかし、永久歯は一度抜いてしまったり削ってしまったりすると、2度と元には戻りません。拡大床を使う治療は、歯の生えるスペースを広げて歯並びを整えるため、抜歯せずに矯正治療ができます。健康な自分の歯を極力残して矯正治療が行えます。

取り外しが可能

拡大床は取り外しができます。そのため食事や歯磨きのときは外せます。

拡大床は患者が自由に取り外せるため食事をゆっくり楽しめるうえ、ブラッシングもしっかり行えます。

目立たない

拡大床は、1日約12時間以上装着する必要がありますが、装着時間さえ守ることができれば外出するときも外すことができます。

固定式の矯正は人と話をしたり、食事をすると矯正装置が見えてしまうので、見た目が精神的負担で歯列矯正をためらう人もいます。

また、サービス業など仕事上、固定式の矯正治療ができない人もいますが、拡大床を使った治療なら歯の裏側に装着するため、つけていても目立たず、必要なときは外して外出できるので治療中のストレスを軽減できます。

拡大床のデメリット

拡大床を使う治療のデメリットを紹介します。

すべての歯並びに適応していない

拡大床は、適応できる歯並びが限られています。大人の矯正治療の場合は、拡大床だけで改善できる歯並びは少ないと考えた方がいいでしょう。ワイヤー矯正やマウスピース矯正を行う過程で拡大床を併用するケースがほとんどです。

矯正治療を始める前に、歯科医師とのカウンセリングにて拡大床を使用できるか詳しい治療計画を聞きましょう。納得できる治療計画が提示されない場合は、複数の歯科医師に相談して治療方針や費用などを比較検討しましょう。

使用時間が短いと治療が長くなる

拡大床は自分で取り外したり、ネジやバネの調整ができるところがメリットですが、十分な装着時間がないと歯の動くスピードが遅くなり矯正治療の期間が長くなります。

装着するのを忘れてしまったり、長い外出時間の間装着していないと十分な効果が得られないので注意しましょう。必ず歯科医師の指示通りの強度と装着時間を守ってください。

紛失や破損のリスクがある

拡大床を取り外して、紛失したり破損してしまうリスクがあります。失くしてしまうと再度作成する費用がかかってしまいます。専用のケースに入れるなどして正しく保管しましょう。

また拡大床の手入れは水やぬるま湯を使って洗います。ネジやバネの部分は歯ブラシを使うといいでしょう。歯磨き粉は研磨剤が入っていて装置に傷がついてしまうため使用しないようにしましょう。

拡大床が適している歯並び

拡大床が対応できる歯並びは、歯がガタガタしている叢生(八重歯を含む)や、下あごが上あごより出ている受け口、また上あごが下あごより出ている出っ歯、上の前歯が下の歯を深く覆ってしまう過蓋咬合などです。

歯並びの状態によって、拡大床を使わない場合もあるので歯科医師に相談しましょう。

拡大床矯正によるトラブル

拡大床を使っても歯並びが改善しなかったり悪化してしまうトラブルもあります。「何年も拡大床で治療してきたのに歯並びが改善しない」「歯並びが悪くなった」「歯並びが治らず結局抜歯した」などの失敗例もあります。

無理に抜歯をしないで歯並びを整えようとすると、あごに十分なスペースがなく歯列が歪んだり、前歯が前に突出してきてしまうなどのリスクもあるため、矯正治療方法は複数の歯科医院でカウンセリングを受けて慎重に決める必要があります。

まとめ

拡大床は、主に成人ではなく子どもの第1期の矯正治療に使用されるものです。抜歯をしなくていいので、健康な歯を残せるのが大きなメリットです。また、取り外しが可能な点も生活に支障が少なく便利です。

しかし拡大床だけできれいな歯並びになるケースは少なく、多くの場合、ワイヤー矯正やマウスピース矯正などと併せて使用するものです。また、患者自身が調整したり取り外しができるため、適切に装着ができないと治療が長引くデメリットもあります。

自分の歯並びを治すためには何が最も適した方法なのか、歯科医師と綿密に相談しましょう。拡大床だけではなく他の矯正方法も保険適用外になるため治療費は高額になります。複数の歯科医師のカウンセリングを受け、納得できる歯科医院と治療方法を選んでください。

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